「細かい人」と言われる、よくある場面

資料の句読点の位置を直してくる。会議の開始が1分遅れただけで気にする。食器の並べ方や、タオルのたたみ方まで決まっている。こうした人は、周りから「細かい人」と呼ばれます。

細かい人の特徴としてよく挙がるのは、小さな違いによく気づく、決まった手順を崩したくない、気づいたことをそのままにできないといったものです。ミスを防いでくれて頼もしい日もあれば、「そこまで言わなくても」と息苦しく感じる日もあります。

何でも自分で抱え込んでしまう場合は任せられない完璧主義の心理で、不安から何度も見直す場合は確認しすぎる人の正体で取り上げました。この記事では、細かいことに気づき、それを自分にも周りにも求める人に注目して、その心の中を考えます。

細かいのは、意地悪だからとは限らない。
「きちんとしていたい」という気持ちが、どこに向いているかで印象が変わる。

一つの印象で、性格は決まりません。ビッグファイブ診断では、複数の質問への回答から、物事の進め方や人との関わり方を振り返れます。

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細かさは「秩序」を大切にする性格の表れ

ビッグファイブの誠実性は、ひとまとまりの性格ではありません。DeYoungらは、ビッグファイブの下位尺度を分析し、五つの性格それぞれが二つの側面に分かれることを示しました。誠実性の場合は、やるべきことをやり遂げる「勤勉さ」と、物事を整え、決まりに沿って進めたい「秩序」の二つです。[1]

細かい人の多くは、この「秩序」の側面が強いと考えられます。散らかった机や、手順の飛ばし、表記のゆれが、ほかの人よりも目に入りやすく、落ち着かない感じがするのです。本人にとっては、わざわざ探しているのではなく、自然と目に入ってしまうことが少なくありません。

また、同じ「細かい」でも、不安が強い人は「間違えたらどうしよう」という心配から細部を確かめます。神経症傾向の強みと付き合い方も、あわせて参考にしてください。ただし、細かさは性格だけで決まるわけではなく、仕事で求められてきた正確さや、育った家庭の決まりごとも関わります。

自分に向くか、他人に向くか

1. 自分に向く完璧主義:自分に高い基準を課し、自分のミスに厳しくなる。

2. 他人に向く完璧主義:家族や同僚など周りの人に、完璧であることを求める。

3. 周りから求められていると感じる完璧主義:周りが自分に完璧を期待している、と思い込んでしまう。

HewittとFlettは、完璧主義を一つのものとせず、基準がだれに向いているかで三つに分けました。その結果、三つの完璧主義は、それぞれ異なる心の不調や性格の特徴と結びついていました。[2]

細かい人が周りに嫌がられやすいかどうかは、この向きで大きく変わります。自分の資料だけを丁寧に整える人は、「几帳面な人」と受け取られやすいでしょう。一方で、同じ基準を他人の仕事や家事にも当てはめはじめると、「細かい人」「口うるさい人」という印象が強まります。

他人への細かさは、関係をこじらせやすい

Stoeberは、大学生を対象にした二つの研究で、他人に向く完璧主義の特徴を調べました。その結果、他人に向く完璧主義は、ほかの二つの完璧主義を考慮しても、人を思いやる、親しくなるといった人間関係の目標と負の関係にあり、自分を大きく見せる傾向とは正の関係にありました。測り方によっては、協調性の低さとの関係も見られました。[3]

これは、細かい人が冷たいという意味ではありません。基準を他人に向けたときに、人とのつながりより「正しさ」が先に立ちやすい、ということです。言われた側は、内容が正しくても「信用されていない」と感じやすく、指摘が多いほど関係は少しずつすり減っていきます。

細かい人との付き合い方、自分が細かい場合

細かい相手と付き合うときは、その人が何を大切にしているのかを先に聞いておくのが有効です。「ここだけは守ってほしい」という点が分かれば、すべてに合わせなくても衝突は減ります。指摘を受けたときは、人格への否定ではなく、作業への意見として受け取ると気持ちが楽になります。

自分が細かいと言われる人は、次の二つを試してみてください。一つは、気づいたことを「直してほしいこと」と「好みの問題」に分けてから伝えること。好みの問題まで指摘していると、本当に大事な一言が届きにくくなります。もう一つは、直す前に、相手の工夫を一つ認めることです。「ここ分かりやすいね。そのうえで、ここだけ…」と言うだけで、受け取られ方が変わります。

細かさそのものは、ミスを減らし、物事を整える力です。自分の領域では存分に生かし、他人の領域では基準を少しゆるめるという使い分けが、関係を守る近道です。

「細かい人」と決めつけない

細かいという印象は、相手との関係や場面によって大きく変わります。仕事では正確さを求める人が、家ではおおらかなことも珍しくありません。一つの場面だけで、その人の性格を決めないようにしましょう。

細かい指摘が毎日のように続き、強い圧迫感や恐怖を感じるなど、人間関係に深い負担があるときは、ひとりで抱え込まず、信頼できる人や相談窓口に話してみてください。

細かさの多くは、悪意ではなく、「きちんとしていたい」という気持ちと、その向け先のずれです。そう知っているだけで、相手の言葉を受け止める余裕が少し生まれます。

印象ひとつで、人柄を決めない

ビッグファイブ診断は、誠実性や協調性を含む五つの傾向を振り返る道具です。相手が細かい理由を判定する検査ではありません。

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参考にした研究

  • DeYoung CG, Quilty LC, Peterson JB(2007)Between facets and domains: 10 aspects of the Big Five. Journal of Personality and Social Psychology, 93(5), 880–896. DOI
  • Hewitt PL, Flett GL(1991)Perfectionism in the self and social contexts: Conceptualization, assessment, and association with psychopathology. Journal of Personality and Social Psychology, 60(3), 456–470. DOI
  • Stoeber J(2014)How other-oriented perfectionism differs from self-oriented and socially prescribed perfectionism. Journal of Psychopathology and Behavioral Assessment, 36(2), 329–338. DOI