「なんでそんなにきっぱり言うの」——意見が強い人が恋愛で言われること

ご飯どこにする? と聞かれたら、はっきり答える。相手の提案が自分の好みと違ったら、正直にそう言う。会話の中で「それは違うと思う」と感じたら、感じたまま口にする。

それの何がいけないのか、自分ではよくわからない。でも相手は傷ついたり、黙り込んだりする。「なんでそんなにきっぱり言うの」「もう少し合わせてよ」「一緒にいると疲れる」——そんな言葉が積み重なっていく。

「俺(私)って、そんなにひどいこと言ってた?」

「嘘をついてまで相手に合わせる意味がわからない」

「気を使いすぎてる方が、むしろ失礼じゃないか」

この感覚、わかる人にはわかると思う。意見が強い人は、相手に嘘をつかない。それが誠実さだと思っている。でも相手からは「冷たい」「強引」「空気が読めない」と受け取られる。そのズレが、恋愛を難しくする。

ただ、これは「直すべき欠点」なのかというと、そうとも言い切れない。協調性が低いことは、自分に嘘をつかない力でもある。世の中の「合わせるのが当然」という基準を作っているのは、協調性が高い多数派だ。だからこそ、それに沿えない人が「問題がある」と見られやすい。でもその見方は、一方的だ。

協調性が低いってどういうこと?——ビッグファイブで見る特徴

ビッグファイブという心理学の性格モデルがある。人間の性格を5つの軸で測るもので、50年以上にわたる研究で裏づけられた、現在もっとも信頼性が高い性格理論だ。

その5つのうちのひとつが「協調性(Agreeableness)」。他者への配慮、共感、調和を好む傾向を指す軸だ。

協調性が高い人は、他者の感情に敏感で、摩擦を避け、相手に合わせることを自然にする。協調性が低い人は逆に、自分の意見を優先し、対立を恐れず、感情より論理で判断しやすい。どちらが正しいとか優れているという話ではなく、どちらも存在するから社会が成立しているという話だ。

協調性が高い人の恋愛スタイル

相手の気持ちを優先する。衝突を避けようとする。「なんとなく合わせる」が自然にできる。

✓ 相手が安心しやすい

✗ 自分の本音が伝わりにくい

協調性が低い人の恋愛スタイル

自分の意見をはっきり言う。納得しないことには乗れない。対等な議論を好む。

✓ 本音で向き合える関係になる

✗ 相手が圧を感じることがある

研究によれば、協調性の低さは必ずしも関係の満足度を下げるわけではない。Costa & McCrae(1992)のビッグファイブの基礎研究でも、協調性の低さと長期的な関係の破綻に直接の因果関係はなく、コミュニケーションのスタイルの違いが問題の核心だと指摘されている。つまり、意見が強いこと自体が問題なのではなく、それをどう伝えるかの問題だ。

ちなみに、社会を動かした人物の多くに協調性の低さが見られる。既存の枠組みに従わず、周囲の反対を押し切って前進した起業家や改革者たちは、協調性が低かったからこそ動けた面がある。「合わせること」が美徳とされる文化の中で、合わせない人間がいるから変化が生まれる。

この記事の話は、ビッグファイブでいう「協調性」と関わりがあります。自分の協調性がどのくらいかは、5分で測れます。

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恋愛での現れ方——主導権・対立・「弱い」という感覚

協調性が低い人の恋愛には、いくつかのパターンが繰り返し現れる。

主導権争いになりやすい

意見が強い人は、関係の中でも自分の判断を通そうとする。それ自体は問題ではないが、相手も自分なりの考えを持っている場合、どちらの意見で動くかをめぐって摩擦が生まれやすい。協調性が低い人どうしが付き合うと、お互い一歩も引かない状況になることもある。一方で相手が協調性高めだと、表面上はうまくいっているように見えて、相手の中に不満が蓄積されていくケースもある。

意見の対立を「普通の会話」と思っている

協調性が低い人は、意見のぶつかり合いを会話の一部として受け取る。反論されても傷つかないし、むしろ「対等に話せる相手」と感じる。でも、協調性が高い相手はそうじゃない。意見を否定されることを「自分を否定された」と感じやすい。ここに大きなズレがある。自分は「議論してるだけ」のつもりが、相手には「攻撃されている」に見える。

相手を「弱い」と思ってしまうことがある

自分の意見をはっきり言えない相手や、すぐ折れてしまう相手を「意思がない」「弱い」と感じることがある。これは正直なところ、自分の価値観を基準にした判断だ。協調性が高い人は弱いのではなく、調和を保つことに高いコストをかけている。そのコストが、協調性の低い人には見えにくい。

意見が強いことは欠点じゃない。
ただ、相手には見えていない部分がある。

なぜ疲れられるのか——相手の視点から

「一緒にいると疲れる」と言われた経験がある人は、相手がどう感じているかを一度だけ想像してほしい。責めているわけじゃなく、疲れるという感覚の中身を知っておくと、少し楽になる。

協調性が低い人と一緒にいる相手は、常に「次に何が来るか」を少し警戒している。会話の中でいつ否定されるかわからない、こちらの提案が通るかどうかわからない——その小さな緊張が積み重なる。相手は悪意を感じているわけじゃない。ただ、リラックスできないという状態になる。

ビッグファイブの研究では、協調性の低いパートナーを持つ側が感じる不満の上位に「自分の気持ちを理解してもらえない」「意見を聞いてもらえない感覚」が挙がる。意見を強く持つことと、相手の意見を受け取ることは、別の話だ。自分がはっきり言うだけではなく、相手が言おうとしていることを最後まで聞くという動作が、関係の温度を大きく変える。

「性格に合わない手法を無理に使っても意味がない」というのはその通りだ。協調性が低い人が急に「なんでもあなたに合わせる」に変わることはできないし、変わる必要もない。ただ、相手がなぜ疲れているのかを知ることと、知らないままでいることは、関係の質を変える。

意見が強い人との恋愛にしかない良さ

ここまで「しんどい」側の話をしてきた。でも、協調性が低い人との恋愛には、他の関係では得られないものがある。

嘘をつかない

協調性が低い人は、基本的に本音で話す。「どうでもいい、あなたに合わせる」という言葉の裏に本音が隠れているタイプではない。「おいしくなかった」はおいしくなかったということだし、「行きたくない」は行きたくないということだ。その率直さは、長い付き合いの中で信頼の根拠になる。「あの人が褒めたら本当に良かったんだ」「あの人が嫌だと言ったら本当に嫌なんだ」——そういう確かさがある。

責任を持つ

自分の意見で動くということは、自分の判断に責任を持つということだ。協調性が低い人は、誰かのせいにしにくい性格でもある。自分が決めたことは自分で引き受ける。その姿勢は、関係の中で頼もしさになる。

対等な関係になれる

協調性が低い人との関係は、意見が言いやすい。相手も言うし、こちらも言える。片方が常に我慢して成立している関係ではなく、ぶつかりながらも対等でいられる関係を作りやすい。表面は穏やかでも水面下では一方的に我慢している関係より、意見が出た時に正面から話し合える関係の方が、長続きするという研究知見もある。

「自分に嘘をつかない力」は、
相手にとって一番確かな誠実さになる。

意見が強い人の恋愛は、「合わせる」が前提の関係よりも摩擦が多い。でも摩擦がないことと、良い関係であることはイコールではない。お互いの輪郭がはっきり見えた上で一緒にいる関係には、それにしかない強さがある。

自分の性格を変えるより、自分の性格がどういうものかを正確に知ること。それが、合う相手を見つける最短距離だ。