うまくいってるはずなのに、何かが物足りない
好きな人には普通に声をかけられる。LINEも自然に送れる。デートの計画も立てられるし、会話も弾む。相手を笑わせるのは得意だし、自分から次の約束も取り付けられる。
周りから見れば「恋愛がうまい人」。
でも——付き合いが長くなってくると、ふと思う。「これで合ってるのかな」
別に嫌いじゃない。楽しいし、一緒にいて嫌な気分になることもない。でも「この人がいなくなるかもしれない」と想像した時、そこまで深い感情が湧いてこないことに気づく。
恋愛について調べると「相手のことが好きすぎて辛い」「会えない時間が苦しい」という話ばかりが出てくる。でも自分には、そういう感覚がない。好きだけど、そこまで深くは考えたことがない。
恋愛は「うまくいく」。でも何かが足りない気がする
相手を喜ばせるのは得意だけど、自分が深く感情を揺さぶられた経験がない
「もっと恋愛を感じたい」のか「これでいいのか」がわからない
もしこの感覚に心当たりがあるなら、あなたの性格の「外交性(外向性)」が関係している。
外交性が高いってどういうこと?——エネルギーの向き先
ビッグファイブの5つの性格因子のなかに、「外向性(Extraversion)」という軸がある。この軸が高い人は、人と一緒にいることでエネルギーが湧く。新しい環境に飛び込むことに抵抗がない。自分から動くことが苦痛じゃない。
恋愛においては、この「動ける」というのが圧倒的な武器になる。声をかける、誘う、会話を広げる——これらは全部、外交性が高い人の得意領域だ。
でも、エネルギーが「外」に向いているということは、裏を返せば「内」を見る時間が少ないということでもある。
外交性が高い人の恋愛
行動力がある。声をかけられる。デートも計画できる。相手を楽しませるのが上手い。恋愛の「プロセス」を進める力が高い。
✓ 恋愛を始める力、進める力に長けている
✗ 感情に浸る時間を作りにくい傾向がある
外交性が低い人の恋愛
行動は苦手。声はかけられない。でも相手のことを考えるだけで感情が深まっていく。一人で考えている時間に、好きが膨らんでいく。
✓ 感情の深さ、相手への理解力が高い
✗ 行動できないから関係が始まらない
ここで言いたいのは、外交性が高いことが悪いということじゃない。行動力は恋愛において間違いなく有利な能力だ。出会いの数も増えるし、関係を始めるハードルも低い。恋愛の「ルール」自体が、実は外交的な人たちが作っている面がある——積極的に動く人がモテる、自分から声をかける人がいい関係を作る、という前提は、外交的な性格の人に合ったルールだ。
ただ、この行動力には一つ「気づきにくい死角」がある。
この記事の話は、ビッグファイブでいう「外向性」と関わりがあります。自分の外向性がどのくらいかは、5分で測れます。
自分の外向性を測る(無料・登録不要)恋愛が「ゲーム感覚」になる理由
外交性が高い人の一部は、恋愛をすっきり進められる。「この人と仲良くなりたい」→「どうすれば仲良くなれるか」→「実行する」→「結果を見て次の手を考える」。手順が見えているから迷わない。
これは決して冷たいということじゃない。行動力が高いから先に進めるという話だ。もちろん、外交性が高くても感情深く恋愛する人はたくさんいる。
私が以前知っていた外交的な知人は、まさに「行動先行」のタイプだった。出会ったその日に連絡先を交換して、翌週にはデートの約束を取り付ける。相手が喜ぶことを瞬時に見抜く。周りから見れば「恋愛がうまい人」の見本だった。
これを見ている内側の人間からすると、本当に不思議だった。自分は好きな人のことを考えるだけで何ヶ月も動けないのに、その人は会ったその日に次の一手を打っている。しかも全部うまくいく。
恋愛の「深さ」は
別の能力で動いている。
外交性が高い人は、恋愛をうまく進める能力に長けている。ただ行動のスピードが速い分、「何もしないでただ相手のことを想う時間」が持ちにくい傾向がある。行動して手応えを得る経験は豊富だけど、じっくり感情を深める経験は、意識しないと後回しになりやすい。
これは欠点じゃない。ただ、気づきにくい傾向の話だ。
うまくいくのは能力、でも深みはないかもしれない
恋愛がうまくいく人と、恋愛を深く感じる人は、同じとは限らない。
外交性が高い人は、相手を観察して「これを言ったら喜ぶ」「この誘い方は効果的」というパターンを素早く見つける。これは立派な能力だ。実際に、相手を楽しませることにおいては、内向的な人より圧倒的に効率がいい。
でも、「相手のことを考える時間」の長さが違う。
内向的で神経症傾向が高い人は、相手のことを何時間も考える。考えるだけで好きが膨らむ。想像の中で関係が完結していく。その「考える時間」自体が、感情を深めていくプロセスだ。
外交性が高い人は、考えるより先に動く。動いて結果が返ってくるから、考える必要がない。効率的だ。でも、その効率性の裏で「何もしないでただ相手のことを想う」時間が生まれない。
恋愛の深さを作るのは、実はこの「何もしない時間」の方かもしれない。行動して手応えを得る経験と、ただ想いを巡らせる経験は別のものだ。外交性が高い人は前者に圧倒的に長けている。でも後者の経験が薄いと、「うまくいってるのに物足りない」という感覚が生まれる。
これに気づいている人は意外と少ない。なぜなら、周りから「恋愛がうまい人」と言われるからだ。うまくいっているのだから、何も問題ないはず——そう思って、その「物足りなさ」を放置している。
別の次元の話。
外交的な人が初めて「感情」の恋愛にハマった話
先ほど話に出た、恋愛をゲーム感覚でこなす外交的な知人の話をもう少ししよう。
その人は、ある時初めて本気で好きな人ができた。それまでは関係をうまく進めることが得意だったが、初めて「この人を失いたくない」という感情に揺さぶられた。
今まで一度も悩んだことがなかった人が、初めて恋愛で悩み始めた。
その人が私に聞いてきた。「お前いつも悩んでるけど、どんな感じ?」
それまで私は、恋愛で悩む側の人間だった。好きな人のことを考えるだけで何ヶ月も過ごす。動けなくて、結局何もしないで終わる。その繰り返しだった。だから、恋愛をゲーム感覚で進める人のことは不思議で仕方がなかった。
でもその瞬間、立場が逆転した。
私は「こういう感じ、こういうこと思います」と説明した。相手のことを考える時間が長いから好きが増していく——その仕組みを。その人も、初めて知る感情の正体を理解しようとして、恋愛にのめり込んでいった。
この時気づいたことがある。
外交的で神経症傾向が低い人は、「感情に浸る時間」を作りにくい傾向がある。行動するからうまくいく。でも、じっくり感情を深める時間を意識的に作らないと、恋愛の「深い側面」に気づかないことがある。
逆に、内向的で神経症傾向が高い人は、感情を深く感じやすいけど「行動する」のが苦手だ。考えることはできるけど、関係を始めることができない。
どちらも欠けている。性格によって恋愛の「できないこと」が違う。
そして、外交性が高い人がこの診断に来るタイミングは——実はすごく重要な意味を持っている。「何かが足りない」と感じてこの記事を読んでいるなら、それは深い恋愛に出会うチャンスのサインかもしれない。
深い感情に触れるには、相手のことを「ただ考える時間」が必要だ。何もしないで、想像を巡らせる。行動の合間に、ふと相手のことを思い出す。その「間」の中で、感情が育っていく。
外交性が高い人はこの「間」を作るのが苦手かもしれない。でも知っていれば、意識して作れる。ただ相手のことを考える——何もしないで、ただ想う。その時間が、恋愛の深さを作る。
物足りなさを感じているなら、
それは深い恋愛への入り口。