「年をとると性格は変わる?」という疑問

「若いころはとがっていたけれど、ずいぶん丸くなった」「年をとって頑固になった」。周りの人や自分自身を見て、年齢と性格の関係が気になったことはないでしょうか。

この記事では、同じ人を何年も追いかけた研究のまとめと、日本で多くの年代の人を一度に調べた調査をもとに、年齢とともに性格がどう変わるのかを整理します。性格の変わり方には、「全体の平均がどう動くか」と「その人の順番が保たれるか」という二つの見方があります。ここを分けて考えると、話がすっきりします。

たとえば、クラス全員が10年で少しずつ落ち着いたとします。このとき平均は変わっていますが、「クラスでいちばんにぎやかな人」が10年後もいちばんにぎやかなら、順番は保たれています。年齢と性格の研究は、この二つを別々に調べてきました。

性格は、少しずつ
形を変えながら続いていく。

今のあなたの性格は、五つの傾向でどう表れている?ビッグファイブ診断では、外向性・協調性・誠実性・感受性(神経症傾向)・開放性の五つを振り返れます。年齢を当てる検査ではありません。

自分の五つの性格を測る(無料)

大人になるほど、落ち着いて責任感が増す傾向

Robertsたちは、同じ人を長い期間追いかけた92の研究をまとめて分析しました。その結果、平均すると人は20〜40歳ごろに、誠実性と気持ちの安定(感受性の低さ)が高まり、人の前で引っ張る力も強まる傾向がありました。[1]

仕事や家庭など、大人としての役割を引き受ける時期と重なることから、研究者のあいだでは「成熟の原則」と呼ばれることもあります。「若いころより丸くなった」という実感は、この傾向と重なる部分があるかもしれません。計画的で責任感のある性格については、誠実性が高い人の特徴で詳しく紹介しています。

また、変化は若い時期だけで終わりませんでした。人と関わる元気さや開放性は10代に高まったあと、高齢期には下がる傾向があり、協調性は高齢期になってから変化が見られました。六つに分けた性格のうち四つで、中年期や高齢期にもはっきりした変化があったのです。男女による違いはほとんどなく、追いかけた期間が長い研究や、より若い世代を対象にした研究ほど、変化が大きく出ていました。

日本の調査でも、似た傾向が見られた

川本たちは、23〜79歳の日本人4,588人の回答を分析しました。10問の短い質問紙で五つの性格を測ったところ、年齢が高い人ほど協調性と誠実性が高い傾向がありました。一方、外向性と開放性には年齢による違いがはっきりせず、男女の差のほうが目立ちました。感受性(神経症傾向)には年齢による違いがあり、若い年代では女性のほうが高い点数を示しました。[2]

ただし、これはいろいろな年代の人を一度に比べた調査です。同じ人が年をとって変わったのか、育った時代の違いなのかは区別できません。同じ人を追いかけた研究とあわせて読むことで、年齢との関係が見えてきます。人を思いやる性格については、協調性が高い人の特徴も参考にしてください。

それでも「その人らしさ」は残りやすい

では、年をとると別人のようになるのでしょうか。RobertsとDelVecchioは、152の追跡研究をまとめ、性格の「順番」がどれくらい保たれるかを調べました。周りと比べて外向的な人が、何年たっても周りより外向的かどうか、という見方です。[3]

間隔を約7年にそろえて比べると、一致の度合い(相関)は子ども時代に0.31、大学生のころに0.54、30歳ごろに0.64と高まり、50〜70歳ごろには0.74前後で安定しました。年齢を重ねるほど、性格の順番は動きにくくなるということです。

ただし、0.74は「まったく変わらない」という意味ではありません。順番が入れ替わる人もいますし、7年より長い間隔で比べると一致の度合いは下がっていました。子どものころの性格だけで、大人になってからの姿が決まるわけではないのです。

つまり、多くの人が全体として少しずつ落ち着いていく中で、周りとの位置関係、つまりその人らしさはかなり保たれると考えられます。性格をどこまで変えられるかについては、性格は変えられる?でも扱っています。

「年をとって頑固になった」は本当?

年配の人について「頑固になった」「昔の話ばかりする」と感じることもあります。研究からは、高齢期に開放性が下がる傾向が分かっていますが、これは平均の話で、すべての人に当てはまるわけではありません。体力の変化や、慣れた環境を大切にしたい気持ちなど、性格以外の理由も重なります。

思い出が語られやすい理由については、昔の話ばかりする人の心理で紹介しています。同じ家庭で育ったきょうだいでも性格が違うように、性格は年齢だけでは決まりません。兄弟で性格が違う理由もあわせて読んでみてください。

年齢による変化と上手に付き合う三つの工夫

以下は、研究が直接効果を確かめた方法ではなく、日常で取り入れやすい提案です。

一つ目は、昔の自分と比べてみること。数年前の日記や写真、メッセージを見返すと、自分では気づかなかった落ち着きや変化が見つかるかもしれません。

二つ目は、新しいことを一つ続けること。開放性は高齢期に下がりやすいとされます。習い事や行ったことのない場所など、小さな新しさを生活に残しておきます。

三つ目は、年齢で人を決めつけないこと。「若いから」「年だから」と考える前に、目の前のその人の性格を見るようにします。

性格は、年齢とともにまったく別のものになるわけではありません。土台を保ちながら、少しずつ形を変えていく。今の自分を知っておくと、数年後に振り返ったとき、変化に気づく手がかりになります。

今の自分の五つの性格傾向を記録しておくと、数年後に見比べる楽しみができます。

ビッグファイブ診断を受ける(無料)

参考文献

  1. Roberts, B. W., Walton, K. E., & Viechtbauer, W. (2006). Patterns of mean-level change in personality traits across the life course: A meta-analysis of longitudinal studies. Psychological Bulletin, 132(1), 1–25. 論文(DOI)
  2. 川本哲也・小塩真司・阿部晋吾・坪田祐基・平島太郎・伊藤大幸 (2015). ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差と性差:大規模横断調査による検討. 発達心理学研究, 26(2), 107–122. 論文(DOI)
  3. Roberts, B. W., & DelVecchio, W. F. (2000). The rank-order consistency of personality traits from childhood to old age: A quantitative review of longitudinal studies. Psychological Bulletin, 126(1), 3–25. 論文(DOI)