次の方法を探しているうちに終わる

トレーナーをしていたとき、この手のクライアントには共通のパターンがあった。最初の相談で「糖質制限を3週間やってみたんですけど」と言う。次に会うと「やっぱり16時間断食の方が良さそうで」と言う。そのさらに後には「筋トレだけにしようかと思って」と言っている。

方法は変わり続けているのに、体はほとんど変わっていない。本人も薄々気づいている。でも「次の方法の方が自分に合っているかもしれない」という感覚を止められない。

これは意志の弱さではない。開放性が高い人はそもそも新しい情報・新しい方法への感度が高い。「もっと良い方法があるはず」という直感は、多くの場面では才能として機能する。ダイエットの文脈では、それが裏目に出る。

ダイエットは基本的に時間がかかる。体が変わるには最低でも8〜12週間の継続が必要で、その途中で別の方法に切り替えると、前の方法の効果を確認できないまま終わる。「この方法は自分に合わなかった」と結論づけるが、実際には続けていないだけ、というケースが大半だ。

開放性が高い人の食事の特徴

開放性が高い人は食に対しても好奇心旺盛だ。新しい食材を試すことに抵抗がなく、プラントベース・断食・ケトジェニックといった新しい食事法にも積極的に飛びつく。これ自体は悪くない。

問題は、健康的でない「新しいもの」にも同じように飛びつくことだ。SNSで話題の裏技、芸能人がやっていた食事制限、根拠が薄いサプリ‥‥。好奇心は情報の質を選ばない。

ダイエットで本当に大事なことは驚くほどシンプルだ。カロリーの収支、そしてたんぱく質・脂質・炭水化物のバランス。この順番で考えれば、細かい裏技に振り回される必要はない。新しい方法を試したくなる気持ちは分かるが、その前に基本が整っているかを確認する方が先だ。

「飽きる」をスケジュールに組み込む

開放性が高い人に「一つのことを続けろ」と言っても、それは「飽きるな」と言うのと同じだ。効果がない。むしろ逆の発想が機能する。飽きることを前提に、変化をあらかじめスケジュールに入れておく。

たとえば運動なら、8週間ごとにプログラムを変える。最初の8週間は筋トレ、次の8週間はヨガと筋トレの組み合わせ、その次は別の種目‥‥という形で「次の変化」を先に決めておく。これで「飽きてやめる」ではなく「予定通り次に進む」になる。

食事も同じだ。3週間ごとに試す食材を変える、月に1回だけ新しいレシピを取り入れる日を決める。変化の余地を残したまま、基本的なカロリーとたんぱく質の管理だけは固定する。変えていいものと変えてはいけないものを分けておくことが重要だ。

変化の中に一つだけ固定するもの

全部を変え続けると、何が効いているのかが分からなくなる。開放性が高い人はこの落とし穴にはまりやすい。方法を変えるたびに条件もリセットされるので、自分に何が合っているかの答えがいつまでたっても出ない。

一つだけ固定するものを決めると、残りは自由に変えていい。たとえば「毎日たんぱく質を体重×1.5g摂ること」だけを固定して、それ以外の食事内容・運動の種類・時間帯は好きに変えていい。この一点だけ守りながら、あとは実験する感覚でやる。

実験という枠組みに変えると、「飽きて続かなかった」が「試してみた結果、自分には合わなかった」になる。同じことだが、後者の方が次につながる。開放性が高い人は実験が得意だ。ダイエットを実験と捉えると、性格が活きる。

3ヶ月という単位で考える

「続けられない」という感覚は、多くの場合タイムスパンの設定が間違っている。「ダイエットを続ける」という終わりのない目標は、誰にとっても続かない。開放性が高い人には特に合わない。

3ヶ月を一つの単位にする。「この3ヶ月は糖質を少し減らしてみる期間」と決める。3ヶ月後に結果を見て、次の3ヶ月の方針を決める。この形なら、方法を変えることが「途中でやめた」ではなく「次のフェーズに進んだ」になる。

70点で続けた3ヶ月の方が、完璧にやった1週間より体は確実に変わる。これはどの性格タイプにも言えることだが、開放性が高い人には特に刺さる言葉だと思う。完璧な方法を探している間に、3ヶ月は過ぎていく。