早く着く人は、何を避けているのか
早く着く理由は、まず「何分待ちたいか」より、何を起こしたくないかを見ると分かりやすくなります。
電車の遅れや道迷いで相手を待たせたくない人は、移動時間の揺れを吸収するために早く出ます。到着後にトイレや身支度を済ませたい人は、集合の前に準備時間を置いています。遅刻した自分を強く責める人は、安心を買うために大きな余白を取ることがあります。
同じ15分前でも、中身は違います。落ち着いて本を読めるなら、余白を予定に組み込んでいる状態です。時計を何度も見て、相手が来るまで緊張が続くなら、不安を減らすための到着かもしれません。
相手によっても変わります。仕事の相手には早く着くけれど、家族との約束はぎりぎりという人もいます。場所が初めてか、遅れたときの影響が大きいかでも、必要な余白は変わります。いつも早いという印象だけで、その人の内面を一つに決めないことが大切です。
その余白をどう過ごしているかを見る。
一度の到着時刻だけで性格は分かりません。ビッグファイブ診断は、いくつもの質問への回答から、普段の計画性や感情の傾向を振り返る道具です。
自分の五つの性格を測る(無料)実際の到着時刻とBig Five
Backらは、心理学実験に参加する学生92人について、事前にBig Fiveを測り、後日のグループ実験へ実際に何分前・何分後に到着したかを記録しました。誠実性は到着時刻、早着、遅刻のすべてと関連し、協調性は到着時刻と早着、神経症傾向は早着と関連しました。[1]
この結果は、「早く着く人には計画的な人が多い」という感覚と一部重なります。同時に、相手や集団を待たせたくない協調性や、遅れるかもしれないことへの心配も関わりうることを示します。
ただし、大学生92人が一つの心理学実験へ来る場面を調べた研究です。仕事、旅行、親しい友人との待ち合わせまで同じ強さで当てはまるとは限りません。関連があっても、一人の一回の到着時刻から性格を判定はできません。
別の研究では、日常的に腕時計を着ける人は誠実性がやや高く、実験の予約にも早く到着していました。[2]しかし、腕時計が人を几帳面にしたのか、時間を意識する人が腕時計を選んだのかは、この結果だけでは決まりません。
人は必要な時間を短く見積もりやすい
早く着く人と対照的に、出発するときは間に合うと思ったのに、毎回ぎりぎりになる人もいます。その背景の一つが「計画錯誤」です。
Buehlerらは五つの研究で、学生が学業や日常の課題に必要な時間を予測し、実際の完了時刻と比べました。人は自分の予定について、過去の遅れよりも「今回はこう進むはず」という筋書きに注意を向け、完了時間を楽観的に見積もりやすいことが示されました。[3]
研究では、似た課題の過去を思い出すだけでは十分でなく、その経験を今回の予測へ結びつけるよう促されたとき、楽観的な偏りが弱まりました。ただし、予測の絶対的な誤差まで小さくなったとは言えず、「過去を見れば必ず正確になる」とまでは言えません。
移動でも、理想どおりの乗り換えだけを足すと余白が消えます。早く着く人は、過去の遅延や迷った経験を予定に入れている場合があります。これは心配性というより、経験に基づく調整です。
早すぎる到着にも負担がある
遅刻を避ける余白は役立ちますが、大きければ大きいほどよいわけではありません。早く着いた時間には、待つ人の時間という費用があります。
Antonidesらは、商業サービスの電話待ち時間を変える二つの現場実験を行いました。待ち時間の評価は、実際の長さだけでなく、許容できる時間と感じた時間の差に左右されました。また、予想待ち時間の情報は、待ち時間を長く見積もりすぎる傾向を減らしました。[4]
これは待ち合わせそのものの研究ではありませんが、早着後の負担を考えるヒントになります。何分待つか分からず時計だけを見る時間と、「10分は本を読む」と決めた時間では、同じ10分でも受け止め方が変わります。
毎回30分前に着いて疲れる、相手にも同じ早さを求めて腹が立つなら、余白が安心より負担を増やしています。早着は美徳ではなく、遅刻の損失と待つ損失の間を調整する方法です。
ちょうどよい余白の作り方
まず、集合時刻とは別に「現地の近くへ着く時刻」を決めます。遅れると困る面接や予約なら余白を大きくし、近所で友人と会うだけなら小さくする。すべての予定を一律15分前にしないほうが、待ちすぎを減らせます。
過去3回を見る:地図の表示時間ではなく、玄関を出てから現地まで実際にかかった時間を見る。
余白の役割を決める:遅延対策、身支度、道迷いのうち、今回必要なものだけを足す。
待つ予定を一つ持つ:本、短い返信、買い物など、途中でやめられる行動を用意する。
早く着く側は、相手にも同じ早さを求めないことが大切です。「10分前」は自分の安心のための予定で、相手との約束は集合時刻です。遅刻しやすい側は、「順調なら何分」ではなく「最近よく起きた遅れ」を一つ加えてみてください。
予定が詰まっている日は、余白を現地だけに置く必要もありません。駅の近くで短い買い物をする、目的地の一つ前で仕事を終えるなど、遅れても中止できる予定を緩衝材にできます。待つことだけを増やさず、崩せる予定で幅を作る考え方です。
よい余白は、待つ時間を増やすことではなく、予定が少し崩れても相手と自分を困らせない幅です。早く着く習慣も、ぎりぎりになる癖も、性格の良し悪しではなく調整できる時間の使い方として見ることができます。
到着時刻だけを、性格の答えにしない
ビッグファイブ診断では、誠実性や協調性、感受性を含む五つの傾向を振り返れます。待ち合わせ一回の行動から人柄を決める検査ではありません。
参考にした研究
- Back MD, Schmukle SC, Egloff B(2006)Who is late and who is early? Big Five personality factors and punctuality in attending psychological experiments. Journal of Research in Personality, 40(5), 841–848. DOI
- Ellis DA, Jenkins R(2015)Watch-wearing as a marker of conscientiousness. PeerJ, 3:e1210. PubMed
- Buehler R, Griffin D, Ross M(1994)Exploring the “planning fallacy”: Why people underestimate their task completion times. Journal of Personality and Social Psychology, 67(3), 366–381. DOI
- Antonides G, Verhoef PC, van Aalst M(2002)Consumer perception and evaluation of waiting time: A field experiment. Journal of Consumer Psychology, 12(3), 193–202. DOI