広報・PRに向いてる人——先に結論から
長い記事になるので、先に結論を書いておく。広報・PRに向いてる人は、次の5つのうち3つ以上が当てはまる人だ。
1. 初対面の相手に自分から話しかけられる。広報の成果は、知り合いの数と質でほぼ決まる。名刺交換の場で壁ぎわに立っている人と、その日のうちに3人と連絡先を交換する人とでは、半年後に持っている材料の量が違う。ここは外向性の高さがそのまま出る。
2. 相手が何を欲しがっているか想像するのが癖になっている。記者に「うちの新製品はすごい」と言っても記事にはならない。相手が書きたい話に自社の情報が乗る形を考えられる人が結果を出す。協調性の高さだ。
3. 世の中の空気が変わったことに、人より早く気づく。いま何が話題で、去年の手が古びたのはどこか。ここに鈍いと、毎年おなじ企画書を出すことになる。開放性の高さ。
4. 数字と表記を何度も見直すのが苦にならない。リリース一本の誤字が、積み上げた信用を削る。地味な確認作業を最後まで飽きずにやれるかどうかで差がつく。誠実性の高さ。
5. 批判されても、次の日に引きずらない。投稿が荒れた夜に眠れなくなる人には、この仕事は重い。神経症傾向は低めのほうが向く。
逆に向いてないのは、人と会った日は一人にならないと回復できない人、その場で判断を求められると固まってしまう人、批判を自分への攻撃として受け取ってしまう人だ。
ただし、これは「広報に近づくな」という意味ではない。広報の中には人前に出ない領域がちゃんとある。PR戦略の策定、メディア分析、社内広報の設計、制作のディレクション。外向性が低くて誠実性が高い人が強いのは、むしろこちら側だ。詳しくは後半の「性格を踏まえたキャリアの考え方」に書いた。
以下、それぞれの根拠と、広報・PRが実際に何をしている仕事なのかを順に見ていく。
広報・PRって、実際に何をしている仕事なのか
広報・PRと聞いて、何を思い浮かべるか。「会社のSNSをやっている人」「プレスリリースを書く人」「テレビに出ている人」。どれも広報の一面だが、全部ではない。広報・PRの仕事を一言で言うなら、「組織と外部の関係を戦略的に構築・管理すること」だ。
まず広報とPRの違いから整理する。日本ではほぼ同じ意味で使われるが、本来はニュアンスが違う。広報(パブリック・リレーションズ)は、組織とその利害関係者(ステークホルダー)との間の関係を管理する活動全般を指す。顧客、従業員、投資家、メディア、地域社会、行政。これらすべてが広報の対象だ。PR(パブリック・リレーションズ)は、その中でも特に「第三者を通じて組織の情報を広める」活動に焦点を当てたものだ。メディアへの情報提供、記者発表、パブリシティ活動。日本では「広報」と「PR」が同じ部署で兼務されることがほとんどだが、本来の機能としては別物だ。
日本の広報・PRの職種にはいくつかの区分がある。企業広報は、自社の広報担当として、メディア対応、プレスリリース作成、SNS運用、社内報の制作などを行う。IR(インベスター・リレーションズ)は、投資家との関係構築が主な業務だ。決算説明会の企画、アナリスト向け資料の作成、株主向けニュースレターの発行。上場企業にはIR担当がいるのが一般的だ。採用広報は、求職者に向けた情報発信とブランディングを担う。採用サイトの運営、SNSでの発信、合同説明会への出展、大学とのパイプ構築。最近は「リクルートメント・マーケティング」とも呼ばれ、重要性が高まっている。
危機管理広報は、不祥事や事故が発生した時に適切な情報発信を行う専門的な役割だ。これが一番ハードルが高く、一番プレッシャーのかかる広報の仕事だ。商品のリコール、役員の不祥事、情報漏洩、労働問題。何が起きるか分からないのが危機管理の難しいところだ。
PRエージェンシーという道もある。広報・PRを専門とする代理店で、複数のクライアントのPR業務を請け負う。電通パブリックリレーションズ、博報堂パブリックリレーションズ、ベクターなどが代表的だ。企業の社内広報チームより幅広い業界の経験を積めるのが特徴だ。
広報・PRの1日のスケジュールを見てみる。朝、出勤してまずメディアモニタリングから始まる。自社に関するニュース記事、SNSでの言及、競合の動向。これらを朝イチで把握する。SNSで自社のネガティブな投稿が拡散していることに気づくかもしれない。その場合は即座に対応策を検討する。広報の朝は「何か起きていないか」を確認することから始まる。
午前中はプレスリリースの作成やメディアへのピッチ(取材依頼)を行う。新製品の発表、イベントの告知、調査結果の公開。これらをメディアに「取材してほしい」と提案する。メディアにとってニュースバリューのある情報でなければ載せてもらえない。「うちの新製品がすごい」では通じない。「なぜ今、これが社会の関心を引くのか」を示す必要がある。この「ストーリーを作る力」がPRの腕の見せ所だ。
午後は会議が多い。マーケティング部門との打ち合わせで、次のキャンペーンのPR戦略を練る。経営陣との会議で、四半期の広報方針を報告する。外部のPRエージェンシーとの定例で、進行中のプロジェクトの状況を確認する。社内の各部署からの広報依頼に対応する。「この件、記事にしてほしい」「SNSで発信してほしい」。広報への要望は日々さまざまな部署から届く。すべてに対応するのは不可能だから、優先順位を判断する力が必要だ。
日本の広報・PRの特徴として、記者クラブ制度の存在がある。各省庁や業界団体に設けられた記者クラブに加盟しているメディアだけが、公式な記者会見や情報提供の対象になる。この制度のおかげで、日本の広報は限られたメディアとの関係構築に注力すればいい面がある一方で、記者クラブ加盟以外のメディアやフリーランスの記者への対応が後回しになりがちだ。この制度は日本独自のもので、海外のPRとは大きく異なる。
SNSの台頭は広報・PRの仕事を根本的に変えた。以前はメディアを通じて情報を届けるのが主な仕事だった。今は、自社のSNSアカウントから直接情報発信できるし、SNS上で直接顧客とコミュニケーションもできる。一方で、SNSでのネガティブな拡散も即座に広報の対応を迫る。一条のツイートが夜中に炎上して、翌朝には全国ニュースになっている。このスピード感は昔の広報にはなかったものだ。広報担当者は24時間、SNSの動向を気にしながら生活することになる。
日本の広報・PR担当者の年収を見てみる。入社1〜3年で300〜400万円。5年経験で450〜550万円。10年経験のシニアクラスで600〜800万円。広報部長やコミュニケーション・ディレクタークラスで800〜1200万円。PRエージェンシーのほうが企業の社内広報よりやや高めだが、その分プレッシャーも大きい。
広報・PRのキャリアパスは多様だ。新卒で広報部門に入る人もいれば、記者から転職してくる人もいる。日本では元記者が広報に転職するケースが比較的多い。取材の仕方を知っている記者は、メディアの視点が分かるから広報として重宝される。マーケティングから広報に異動する人もいる。広報とマーケティングは近い分野だが、広報は「信頼構築」、マーケティングは「購買促進」と、目的が違う。この違いを理解しているかどうかが、広報としての質を左右する。
この記事の話は、性格の5つの因子(ビッグファイブ)で読み解けます。自分の傾向は5分で測れます。
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広報・PRの仕事内容を理解した上で、どんな性格の人が向いているのかをビッグファイブの5因子から見ていく。
外向性(Extraversion)が高い:最も重要な因子
広報・PRにおいて、外向性はすべての因子の中で最も強く関連する。広報は「人と関係を構築する仕事」だから、人との交流にエネルギーを感じる外向的な人に圧倒的に向いている。
外向性が高い人は、人に会うこと、話すこと、関係を築くこと自体が楽しい。ネットワーキングイベントに参加して知らない人に声をかけるのが苦ではない。記者との食事会で自然に会話を広げられる。社内の別部署の人と雑談するうちに次のPRネタを見つける。こうした行動が、広報・PRの成果に直結する。関係者の数と質が、PRの力そのものだ。
メディア対応も外向性が高い人の方が得意だ。記者会見でマイクを向けられても動じない。電話取材に即座に対応できる。カメラの前に立って落ち着いて話せる。これらは技術で訓練できる部分もあるが、ベースの「人前に出ることへの抵抗のなさ」は外向性に由来する。
ただし、外向性が高すぎると「話しすぎ」になるリスクもある。広報は「言うべきことを言い、言わなくていいことは言わない」バランスが求められる。特に危機管理の場面では、不用意な一言が問題を大きくすることがある。外向性が高い人は、この「セーブする力」を意識的に持つ必要がある。
協調性(Agreeableness)が高い:信頼を構築する力
広報・PRにおいて協調性は非常に重要だ。信頼関係の構築は、相手への共感と配慮なしでは成り立たない。
協調性が高い人は、記者の立場を理解できる。「この記者は何を知りたがっているのか」「どんな記事を書きたいのか」を想像し、メディアにとってニュースバリューのある情報提供ができる。これは「メディアに媚びる」ことではなく、「ウィンウィンの関係を作る」ことだ。記者は記事のネタが欲しい。広報は自社の情報を届けたい。この両方を満たす形で情報提供するのが、うまい広報だ。
社内での調整にも協調性が活きる。広報は社内のさまざまな部署からの要望を調整する役割だ。営業部門は「もっと製品の良さをPRしてほしい」と言う。法務部門は「リスクのある表現は避けてほしい」と言う。経営陣は「もっと良いニュースだけを発信してほしい」と言う。これらの相反する要望を調整し、社内合意を形成するには、高い協調性が必要だ。誰の顔色も潰さずに落としどころを見つける。これができる人は、組織の広報として重宝される。
ただし、協調性が高すぎると「全員の要望を入れようとして何も決まらない」状態に陥る。特に危機管理の場面では、迅速な判断が求められる。全員の合意を待っていたら対応が遅れる。協調性が高い人は、「ここは決断して進む」という場面で葛藤しやすい。
開放性(Openness)が高い:クリエイティブなPR
PR企画の立案には開放性が役立つ。従来の方法にとらわれない新しいアプローチ、意外なコラボレーション、話題を呼ぶキャンペーン。これらは開放性が高くないと思いつかない。
開放性が高いPR担当者は、メディアのトレンドや世の中の空気に敏感だ。TikTokで何が流行っているか、どのインフルエンサーが今注目されているか、社会的な関心がどこに向いているか。これらを素早くキャッチアップし、PRの文脈に落とし込む。開放性が低い人は、既存の手法(プレスリリース配信、記者会見)に固執しがちだ。もちろん基本手法も大切だが、それだけではメディアの関心を引けなくなっている。
誠実性(Conscientiousness)が高い:正確性の担保
広報における誤字脱字、数字の間違い、事実と異なる情報発信は、組織の信頼を大きく損なう。プレスリリース一つ出すにも、何重もの確認が必要だ。数字は正確か、法務の確認は取れたか、関係部署の承認は得たか。この地道な確認作業を徹底できるのは、誠実性が高い人だ。
メディアリストの管理も地味だが重要だ。どの記者がどの分野を担当しているか、前回の接触はいつか、どんな話題に興味を持っていたか。これらを記録し、関係を継続的に管理する。誠実性が高い人はこの記録管理が得意だから、長期的な関係構築で成果を出しやすい。
神経症傾向(Neuroticism)が低め:危機の冷静さ
広報・PRにおいて、神経症傾向は低め〜中程度が望ましい。理由は単純だ。広報はプレッシャーの多い仕事だからだ。
危機が発生した時、広報は冷静でなければならない。メディアが殺到し、SNSで批判が溢れ、経営陣からは「早く何とかしろ」と詰められる。この状況で感情に飲まれず、次にやるべきことを一つずつ実行できる。この冷静さは、神経症傾向が低い人の方が自然に保てる。
SNSでの批判に直面した時も同様だ。自社の投稿が意図せず炎上したら、神経症傾向が高い人はその批判を個人的に受け止めすぎる。不安が広がり、夜眠れなくなる。「次の投稿も炎上したらどうしよう」と委縮する。一方、神経症傾向が低い人は、「今回はこういう反応があった、次は気をつけよう」と切り替えられる。広報にとって、この切り替えの速さは精神衛生上とても大切だ。
ただし、神経症傾向が全くないと「慎重さ」が欠けるリスクがある。広報には「これを言ったら問題になるかもしれない」という予感が必要だ。その予感は、ある程度の不安感から来る。だから完全に神経症傾向が低いより、中程度がバランスとして良い。
向いていない人が陥りやすいパターン
広報・PRに向いていない性格の人が、この道を選んだ時に起こりがちなパターンをいくつか紹介する。
外向性が低い人:「広報なのに人と話したくない」問題
外向性が低い人が広報になると、仕事の根幹である「人との関係構築」が苦痛になる。記者との食事会、社内での調整、イベントでのネットワーキング。これらはすべて対人のエネルギーを消費する。外向性が低い人は、一日中人と会った後は一人になって回復する時間が必要だ。でも広報は「常に誰かとつながっている」のが仕事だから、回復する暇がない。
電話が鳴るたびに緊張する。取材の申し込みが来るたびに胃が痛くなる。記者会見の前日は眠れない。こういう状態が続くと、広報という仕事自体が苦痛になる。「広報はやりがいがある」と頭では分かっていても、体が拒否してしまう。これは意志の問題ではなく、性格の問題だ。外向性が低い人にとって「常に人と関わる仕事」は、本質的に向いていない。
でも、広報の中にも内向的な人に向いている領域はある。社内広報(社内報、イントラネットの運営)、PR戦略の策定、メディア分析、クリエイティブ制作のディレクション。これらは人との直接的な接触が比較的少ない領域だ。広報という大きな枠組みの中で、自分に合う領域を見つけることは可能だ。
協調性が低い人:「炎上クリエイター」問題
協調性が低い人が広報になると、「空気を読めない」発言で組織にダメージを与えるリスクがある。SNSでの不適切な投稿、記者への失礼な対応、社内調整での衝突。一つひとつは小さくても、広報の発言は組織を代表するものだから、影響は大きい。
協調性が低い人は「はっきり言う」ことを正義としがちだ。「事実をそのまま伝えるのが広報だろう」と考える。でも広報は「事実を伝える」だけでなく「どう伝えるか」が重要だ。同じ事実でも、伝え方一つで組織の印象が変わる。「率直に言うこと」と「配慮なく言うこと」は違う。この違いに気づけないと、広報としては機能しない。
ただし、協調性が低い人の「物事に遠慮しない姿勢」は、PR戦略の立案では強みになることもある。「なぜこのPRアプローチが効果的なのか」を厳しく問える。「本当にこのメッセージでいいのか」を疑える。周囲の意見に流されず、独自の視点でPR戦略を構築する。こういう強みは、協調性が低い人ならではだ。ただし、その強みを活かすには、コミュニケーションの技術で協調性の低さを補う努力が必要だ。
神経症傾向が高い人:「炎上恐怖」による麻痺
神経症傾向が高い人が広報になると、発信のたびに過剰な不安を感じる。「この投稿、誤解されるのではないか」「この表現、炎上しないか」「メディアにどう受け取られるか」。一つのプレスリリースを出すのに何度も何度も見直し、結局タイムリーな情報発信ができなくなる。
SNSのモニタリングが強迫観念になることもある。自社の名前がSNSで言及されるたびに通知が来るように設定していると、朝起きてから夜寝るまでSNSを気にする生活になる。休日もSNSをチェックしてしまう。結果、精神的に休まる時間がなくなる。広報担当者が燃え尽きるパターンの一つに、この「SNS監視の常態化」がある。
危機が発生した時はさらに過酷だ。神経症傾向が高い人は、危機の影響を過大に捉えがちだ。「これでもっと大きくなったらどうしよう」「自分の対応がまずかったらどうしよう」。不安が思考を支配し、冷静な判断ができなくなる。広報には「状況を客観的に見て、次の一手を判断する力」が求められるから、不安に飲まれるのは致命的だ。
こういう人は、広報の中でも「危機管理」から離れた領域を選ぶべきだ。社内広報、採用広報、データ分析、クリエイティブ制作。炎上リスクが低い領域なら、神経症傾向が高くても広報の仕事を楽しめる。
誠実性が低い人:「広報事故」の温床
誠実性が低い人が広報になると、ミスが頻発する。プレスリリースの数字が間違っている。約束した記者への取材対応を忘れている。社内の承認フローを省略して勝手に発信する。メディアリストの更新を怠っている。一つひとつは「確認不足」で済むかもしれないが、これらが積み重なると、広報としての信頼がなくなる。
特に日本の広報では、社内の承認フローを経て情報を発信することが基本だ。誠実性が低い人は、このフローを面倒くさがって省略してしまう。「これくらいの内容なら承認なしでいいだろう」と判断して、後で問題になる。社長がSNSで自社の発信を初めて知ったら、広報としての立場は危うい。誠実性は広報の基本中の基本だ。
性格を踏まえたキャリアの考え方
広報・PRの世界も、一口に「広報」と言ってもさまざまな役割がある。自分の性格に合う領域を見つけることが、この業界で長く続けるコツだ。
広報の役割を分解して考える
「広報がしたい」と思った時、何に惹かれているのかを分解してみる。人と関係を築くのが好きなのか、文章を書くのが好きなのか、戦略を考えるのが好きなのか、SNSで情報発信するのが好きなのか、それとも組織を守ることにやりがいを感じるのか。どれに惹かれているかで、向いている広報のスタイルが違う。
人と関係を築くのが好きなら、メディアリレーションズが向いている。記者との関係構築を通じて、メディア露出を増やす役割だ。外向性が高く協調性が高い人が最も向いている。文章を書くのが好きなら、広報制作(プレスリリース、社内報、コンテンツ制作)に向いている。外向性が低くても、開放性が高ければ力を発揮できる。戦略を考えるのが好きなら、PR戦略の策定やコミュニケーション計画の設計が向いている。開放性が高く、誠実性が高い人に合っている。
外向性が高い人:フロントラインの広報
外向性が高い人は、メディア対応、イベント企画、ネットワーキングなど、人の前に立つ広報の役割に最も向いている。プレスカンファレンスの司会、メディアパートナーシップの構築、インフルエンサーとのタイアップ交渉。これらは外向性が高い人の得意分野だ。
PRエージェンシーでの就業も向いている。エージェンシーでは複数のクライアントを担当するから、常に新しい人と出会い、新しい関係を築く。変化の多い環境を楽しめるのは外向性が高い人の特徴だ。
外向性が低い人:戦略・制作の広報
外向性が低い人は、人前に立つことより裏方の広報に向いている。PR戦略の策定、メディア分析、コンテンツ制作、社内広報の設計。これらは人との直接的な接触が少なく、思考と文章の力で勝負できる領域だ。
「広報には人前に立つ仕事」というイメージが強いが、実際には裏方の仕事も多い。プレスリリース一本書くのにも、事実確認、数字の精査、法務確認、社内調整、メディアリストの選定、配信タイミングの検討など、見えない作業がたくさんある。この見えない作業を確実にこなせるのは、外向性が低くて誠実性が高い人だ。「目立たないが確実な広報」は、どの組織にも必要な存在だ。
協調性が中程度の人:バランスの取れた広報
協調性が中程度の人は、配慮と主張のバランスが取れている。記者の立場を理解しつつ、自社の主張もしっかり伝える。社内の調整では各部署の要望を聞き入れつつ、現実的な線を引く。このバランス感覚は、特に中規模〜大規模な組織の広報で求められる。
キャリアの後半では、コミュニケーション部門の責任者や広報コンサルタントへの道もある。社内の経験を活かして、他社の広報戦略をアドバイスする役割だ。協調性が中程度で、開放性と外向性も高めの人は、こうした「組織をまたぐ役割」にも向いている。
自分の性格を知る意味
広報・PRという仕事は、性格が結果に直結しやすい。外向性が高いか低いかで、一日の業務の負担感がまるで違う。協調性が高いか低いかで、関係構築の質が変わる。神経症傾向が高いか低いかで、危機対応の冷静さが変わる。他の職種ほど「技術で性格を補える」部分が少ない。だからこそ、広報を目指す人は自分の性格を理解しておくことが大切だ。
ビッグファイブの5因子スコアは、この自己理解のためのツールとして役立つ。「自分は外向性が低いから、メディア対応より戦略立案に力を入れよう」「協調性が高いから、社内調整では意識的に主張を持とう」。こうした具体的な行動方針は、性格スコアを見ることで導き出せる。
広報・PRは、「言葉と関係で組織を守り、伸ばす仕事」だ。言葉を選ぶ力、関係を築く力、局面を読む力。これらはすべて、性格の特性と深く結びついている。自分の性格を知ることは、広報としての自分の強みと弱みを知ること。そして、自分に合う働き方を選ぶこと。この二つができれば、広報・PRの道はやりがいのあるキャリアになる。