「日本人は控えめでまじめ」は本当?

「日本人は控えめでまじめ」「海外の人は明るくて社交的」。こうしたイメージを、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。旅行や仕事で海外の人と話して、「やっぱり違う」と感じた経験がある人もいるかもしれません。

この記事では、世界の数十か国で同じ質問紙を使った大きな調査をもとに、日本を含むアジアの人の性格が、世界と比べてどう見えるのかを整理します。あわせて、国どうしの性格を比べるときに見落とされやすい「比べ方の落とし穴」も紹介します。

先に結論を言うと、地域による平均の違いは確かにあります。ただし、その差は思われているほど単純ではなく、「〇〇人だからこういう性格」と一人ひとりに当てはめられるものではありません。

国の平均と、
あなたの性格は別のもの。

あなたの五つの性格は、国の平均ではなく、あなた自身の回答で決まります。ビッグファイブ診断では、外向性・協調性・誠実性・感受性(神経症傾向)・開放性の五つを振り返れます。

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世界56か国で、同じ質問をした調査

Schmittたちは、性格を五つの面から測る質問紙を28の言語に訳し、56か国の17,837人に答えてもらいました。[1]

その結果、外向性・協調性・誠実性・感受性・開放性の五つにまとまる性格の形は、世界の主要な地域でしっかり共通していました。国や言葉が違っても、性格を五つの面から見る物差しそのものは使える、ということです。

一方で、点数の高さには地域による違いも見られました。とくに東アジアと南アメリカの人は、開放性でほかの地域の人とはっきり違っていました。開放性は、新しい考えや体験に興味を持つ傾向のことです。詳しくは開放性が高い人の特徴で紹介しています。

周りの人から見た性格でも、地域差が出た

McCraeとTerraccianoは、51の文化の大学生12,156人に、自分の国でよく知っている人を一人思い浮かべて、その人の性格を評価してもらいました。[2]自分で自分を評価するのではなく、周りの人の目から見た性格を集めた調査です。

その結果、ヨーロッパやアメリカの人は、アジアやアフリカの人よりも外向性が高い傾向がありました。この地域差は、国の経済の豊かさや、どの質問にも「はい」と答えやすいくせでは説明できませんでした。アジアの人が平均としてやや控えめに見られやすいことは、研究からもうかがえます。

ただし、これは多くの人を集めた平均の話です。静かで落ち着いた性格には、深く考える、人の話をよく聞くといった良さもあります。外向性が低い人の特徴もあわせて読んでみてください。

「国民性」のイメージは当てにならない

では、「日本人はまじめ」といったイメージはどうでしょうか。Terraccianoたちは、49の文化の3,989人に「自分の国の人は平均してどんな性格か」を答えてもらい、実際に測った性格の平均と比べました。[3]

その結果、国民性のイメージは多くの人が似たように答えるものの、実際に測った性格の平均とは一致しませんでした。研究者たちは、国民性のイメージは根拠の乏しい思い込みで、国としてのまとまりを保つ役割をしているのかもしれない、と述べています。

「〇〇人は陽気」「〇〇人はきちんとしている」という言い方は、聞き覚えがあって納得しやすいぶん、確かめられないまま広まりがちです。血液型や星座で性格を決めつける話と似たところがあります。占いと診断の違いは、占いから「使える診断」へでも紹介しています。

比べ方の落とし穴「参照集団効果」

国どうしの性格を比べるとき、もう一つ気をつけたいことがあります。人は自分を評価するとき、無意識に周りの人と比べているという点です。

Heineたちは、専門家の多くが「東アジアの人は北アメリカの人より集団を大切にする」と考えているのに、質問紙で比べるとその差が表れないことを示しました。[4]比べる相手を意識させる工夫をすると、予想どおりの文化差がはっきり表れました。また、同じ国に住んでいても文化的な背景が違う人どうしのほうが、違う国の人どうしよりも大きな差を示しました。

たとえば日本の人が「私はきちんとしているほうだ」と答えるとき、比べている相手は周りの日本人です。周りの基準が高ければ、実際には几帳面な人でも、控えめな点数をつけるかもしれません。国の平均点を並べるだけで「日本人は〇〇が低い」と言い切るのは難しいのです。周りに合わせやすい気持ちについては、自分の意見がない人の心理でも扱っています。

国の平均と上手に付き合う三つの工夫

以下は、研究が直接効果を確かめた方法ではなく、日常で取り入れやすい提案です。

一つ目は、国で人をくくらないこと。「〇〇人だから」と考える前に、目の前のその人の性格を見るようにします。場になじみにくいと感じるときの考え方は、空気が読めない人の心理で紹介しています。

二つ目は、自分の点数は「周りと比べた自分」だと知っておくこと。住む場所や働く環境が変わると、同じ自分でも答え方が変わることがあります。

三つ目は、自分の性格は自分の回答で知ること。ビッグファイブ診断の点数は、あなたの回答から出していて、国の平均と比べた順位ではありません。年齢による変化については、年をとると性格は変わる?も参考にしてください。

国による違いは、旅や仕事で異なる文化に触れるときの話のきっかけにはなります。けれど、一人ひとりの性格は、国の平均よりずっと多様です。まずは自分の性格を知るところから始めてみてください。

国の平均ではなく、あなた自身の五つの性格傾向を確かめてみませんか。

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参考文献

  1. Schmitt, D. P., Allik, J., McCrae, R. R., & Benet-Martínez, V. (2007). The geographic distribution of Big Five personality traits: Patterns and profiles of human self-description across 56 nations. Journal of Cross-Cultural Psychology, 38(2), 173–212. 論文(DOI)
  2. McCrae, R. R., Terracciano, A., & Members of the Personality Profiles of Cultures Project (2005). Personality profiles of cultures: Aggregate personality traits. Journal of Personality and Social Psychology, 89(3), 407–425. 論文(DOI)
  3. Terracciano, A., Abdel-Khalek, A. M., Ádám, N., et al. (2005). National character does not reflect mean personality trait levels in 49 cultures. Science, 310(5745), 96–100. 論文(DOI)
  4. Heine, S. J., Lehman, D. R., Peng, K., & Greenholtz, J. (2002). What's wrong with cross-cultural comparisons of subjective Likert scales?: The reference-group effect. Journal of Personality and Social Psychology, 82(6), 903–918. 論文(DOI)