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幼児版が「3つの気質」で
見る理由

2026年10月3日 公開

3〜6歳の子ども診断は、ビッグファイブ(5つの性格の特徴)ではなく、幼児の気質研究で使われてきた3つの軸で結果を出しています。小学生から上は5つの特徴で見ます。なぜ年齢で見方を変えているのか、根拠と限界をまとめました。

3つの軸とは

気質は、生まれつきの面が大きいとされる、反応の仕方や気持ちの動き方の個人差です。この診断の3つの軸は、子どもの気質研究で知られるロスバートらの「子どもの行動質問紙(CBQ)」で報告されている、3つの大きなまとまりを参考にしています。

この診断での呼び方研究での名前見ているところ
元気さサージェンシー/外向性(Surgency/Extraversion)活動量、動き出しの速さ、はしゃぐ遊びの楽しさ、人見知りの少なさ
気持ちの出やすさ否定的な感情の出やすさ(Negative Affectivity)いらいら・怒り、こわがり、悲しみ、なだめにくさ
自分をととのえる力エフォートフル・コントロール(Effortful Control)待つ・がまんする、集中、静かな遊びの楽しさ、小さな変化への気づき

CBQは、3〜7歳の子どもについて保護者が答える質問紙です。15の細かい尺度を因子分析すると、この3つのまとまりがくり返し得られたと報告されています。中国や日本の子どもの評定でも、同じ3つのまとまりが得られるようだと報告されています(Rothbart ほか, 2001)。ただし、3つのまとまりを前提にした確かめ方(確認的因子分析)では、当てはまりが十分でなかったことも報告されています(Rothbart ほか, 2001。Putnam & Rothbart, 2006 による整理)。1歳半〜3歳向けの質問紙(ECBQ)でも、同じ3つのまとまりが報告されています(Putnam ほか, 2006)。

どの軸も、点数の高い・低いで子どもの良し悪しを決めるものではありません。その子に合う関わり方を考えるための手がかりです。

なぜ幼児はビッグファイブで出さないのか

1. この年齢では、気質の3つの軸が研究で広く使われてきたから

3〜6歳の子どもを保護者の回答で調べる研究では、上のCBQに代表される気質の枠組みが広く使われてきました。日本語でも、CBQの日本語短縮版が作られ(草薙・星, 2017)、そのとき集めた3〜6歳の子ども837名のデータをもとに、36問の日本語版も検討されています(成瀬ほか, 2021)。

2. 5つの特徴の平均は、子どもの年齢によって違うことが報告されているから

3〜20歳の子どもについて保護者が答えた大規模な調査では、協調性・誠実性・開放性の平均が、年齢によって一度下がってから上がる形で違うことが報告されています(Soto, 2016)。年齢ごとの基準を持たない簡単な診断で、幼児の5つの特徴の点数を読み取るのは難しいと考えました(ここは私たちの判断です)。

3. 保護者が答えるので、具体的なふるまいを聞くほうが答えやすいから

3〜6歳の子どもは、自分で質問に答えることができません。気質の質問は「家の中でも走り回って遊ぶ」「思い通りにならないと大声を出して怒る」のように、保護者が家で見ているふるまいを聞く形にしやすく、答えやすいと考えています。

ただし「幼児は5つの特徴を測れない」わけではありません

3〜20歳の子どもの保護者の回答から、5つの特徴に「活動性」を加えた6つの特徴を調べた研究もあります(Soto, 2016)。幼児にビッグファイブを使うことが間違いだという意味ではなく、この診断では、研究で広く使われてきた気質の3つの軸を選んだ、ということです。

ビッグファイブとのつながり

CBQの開発者たち自身が、この3つのまとまりはビッグファイブのうち3つを思わせると述べています。「元気さ」は外向性に、「気持ちの出やすさ」は感受性(神経症傾向)に、「自分をととのえる力」は誠実性に近いものとして比べられてきました(Putnam & Rothbart, 2006)。

ただし、一対一でぴったり重なるわけではありません。また、3つの軸には、協調性と開放性にあたる軸がありません。幼児期の3つの軸は、ビッグファイブの全体ではなく、その一部とつながるものです。

幼いころの気質の違いは、成長とともに、より広い性格の特徴へと形を変えていくと考えられています(Shiner & Caspi, 2003)。こうした考え方をふまえて、この診断では、小学生からは5つの特徴で見る設計にしています。

この診断でできること・できないこと

2026年10月3日、24問のうち6問を、CBQの尺度の定義により合う内容に見直しました。どの軸を測る質問かと、点数の出し方は変えていません。

参考にした研究