「向いている趣味」を探し続けて疲れる

休日をうまく使いたくて、趣味の診断をいくつも試す。外向性が低いから読書、開放性が高いから創作、誠実性が高いからコレクション。候補は増えるのに、実際に始めると三日で止まる。すると「やっぱり自分には趣味がない」と戻ってしまう。

けれど、診断が外れたとは限らない。趣味には、興味を持つこと、始めること、続けること、人に見せることが含まれている。性格が関係する場所はそれぞれ違う。音楽を好きになる理由と、楽器の練習が続く理由も同じではない。

この区別をしないまま「あなたに向いている趣味」を一つに決めると、好きになれなかったときに自分の性格まで否定したくなる。研究から見えるのは、もっと弱く、もっと役に立つ関係だ。

研究が言えるのは、適性表ではなく傾向の話

ビッグファイブは、開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向という、比較的幅の広い性格の傾きを測る。これは「この人はギター向き」「この人は登山に不向き」と判定するための分類ではない。

研究で「性格と活動に関連がある」と出ても、それは同じ性格の人が同じ趣味を選ぶという意味ではない。関連には、生活時間、費用、体力、住んでいる場所、周りに一緒にやる人がいるかといった条件も重なっている。性格はその一部を動かす。

性格は、趣味を決める運命表ではなく、楽しみ方の入口を少し傾けるレンズだ。

だから「向いているか」を見るときは、趣味の名前ではなく、そこで何を味わいたいのかへ戻る。新しい刺激、上達の実感、人とのつながり、静かな没入。名前が同じ趣味でも、求めているものが違えば続き方も変わる。

この記事の話は、性格の5つの因子(ビッグファイブ)で読み解けます。自分の傾向は5分で測れます。

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音楽の好みには、性格との関連が出た

性格と趣味の関係を考えるとき、音楽は分かりやすい例になる。RentfrowとGosling(2003年)は、6つの研究と3,500人を超える参加者のデータから、音楽の好みを四つの大きなまとまりに整理し、開放性を含む複数の性格・自己認識との関連を調べた。

ここから「開放性が高い人はこのジャンル」と短絡したくなるが、研究が示したのは好みの傾向との関連だ。人の好みを一つの因子で当てる話ではない。育った家庭、友人、時代、聴いた経験が音楽の意味を作る。性格は、その受け取り方の一部に関係する。

同じ曲を聴いても、歌詞に入り込む人、音の複雑さを楽しむ人、仲間と盛り上がるために聴く人がいる。趣味の表面ではなく、何に反応しているかを見ると、性格との接点が見つかる。

運動では、外向性だけが主役ではない

運動や屋外活動は「外向的な人の趣味」と言われやすい。だが、16サンプル・12万5千人を超える参加者レベルのデータを用いたメタ分析では、身体活動は外向性だけでなく、神経症傾向の低さ、誠実性の高さ、開放性の高さとも関連していた。

ただし、この研究が扱ったのは身体活動の頻度や不活動、座りがちな行動だ。特定のスポーツが好きか、仲間とやりたいか、競技を続けられるかを直接判定した研究ではない。ここを混ぜると、「運動不足だから外向性が低い」という逆向きの決めつけが起きる。

たとえば同じウォーキングでも、気分転換のために歩く人と、記録を伸ばすために歩く人では満足の場所が違う。性格の因子は、活動の選択だけでなく、負荷の受け止め方や続ける仕組みに現れる。

余暇活動の研究が示した、性格だけでは足りない理由

性格と余暇活動を長い期間で調べた研究もある。Kuperら(2023年)は、11年分の調査、12,703人、延べ59,108回の評価を使い、ビッグファイブ、15種類の余暇活動、幸福感と生活満足度の関係を分析した。

性格と余暇活動には関連が見られたが、平均すると小さいものが多く、一部に中程度から大きい関連があった。余暇活動が幸福感と結びつく関係も、同じ人の年ごとの変化で見ると効果はとても小さく、人による違いが大きかった。

さらに「性格に合う活動なら、幸福感への効果が特に大きい」という交互作用は、個人内では確認されなかった。予想とは反対向きで、小さなものだった。これは趣味が無意味という話ではない。性格診断だけで、幸福になれる趣味を選び切れるわけではないという境界線だ。

研究から持ち帰れること

性格は、余暇活動の選び方や関わり方とつながる。けれど「この性格なら、この趣味が一番幸せ」という処方箋までは出ていない。

趣味を左右するのは、性格以外の条件でもある

趣味が続くかどうかを決める条件は、性格の外にもある。仕事が終わる時間、近所に場所があるか、道具を置くスペース、費用、教えてくれる人の有無。やりたい気持ちがあっても、毎回そこを越える必要があると、趣味は意志の強さを測る試験になる。

過去の経験も大きい。子どものころに褒められた活動は、同じ内容でも始めやすい。反対に、人前で失敗した記憶があると、興味はあるのに見学で止まる。これは性格の数字に出る前の、学習された抵抗だ。

だから、趣味が続かなかったときに「自分はCが低い」「Nが高い」と結論を出すのは早い。好きではないのか、準備が重いのか、評価される場が怖いのか。止まった場所を見れば、性格以外の条件も見つけられる。

ビッグファイブを「選ぶ道具」にしない見方

診断結果を趣味選びに使うなら、固定のおすすめ表としてではなく、楽しさが生まれやすい条件を探すために使う。因子ごとに、次のような問いへ変換すると決めつけが弱くなる。

傾き趣味名ではなく、見る条件
開放性新しい世界を試したいか、同じものを深く掘りたいか
誠実性上達の手順があると楽しいか、自由に試す方が動けるか
外向性人の反応で熱が上がるか、一人で集中すると戻るか
協調性競う場より、役割を分ける場の方が安心できるか
神経症傾向失敗や予定外の負荷を減らすと、興味を行動に移せるか

この表は判定表ではない。同じ人でも、仕事の繁忙期と余裕のある時期で答えが変わる。性格を知る目的は、候補を削ることではなく、楽しさが逃げる条件を先に取り除くことにある。

向いている趣味より、やめる理由を測る

新しい趣味を試すときは、三回続かなかったことより、どこで止まったかを記録する。道具をそろえる段階で止まったなら準備費用を下げる。人に見せる前で止まったなら、非公開の練習場所をつくる。予定を組むところで止まったなら、予約不要の小さな活動にする。

ここで性格の数字を使うなら、「自分は何が得意か」より「どの条件なら動きやすいか」を見る。外向性が低くても、オンラインで仲間と話す趣味は楽しめる。開放性が低くても、同じ道具を使い込む趣味に深く入れる。神経症傾向が高くても、失敗を見られない場なら好奇心を出せる。

趣味は、自分の性格を証明するものではない。生活の中に、少しだけ回復する時間を置く方法だ。性格に合う一つを当てるより、やめる理由を一つ減らす。その方が、好きなものに近づく道は長く残る。

自分が楽しめる条件を知ろう

性格で趣味を決めつけるのではなく、どんな環境で自然に動けるかを知る材料として、ビッグファイブを測ってみてください。

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参考にした研究

  • Rentfrow PJ, Gosling SD(2003)「The do re mi's of everyday life: the structure and personality correlates of music preferences」PubMed
  • Sutin AR, et al.(2016)「The Five-Factor Model of Personality and Physical Inactivity: A Meta-Analysis of 16 Samples」PubMed
  • Kuper N, et al.(2023)「Who benefits from which activity? On the relations between personality traits, leisure activities, and well-being」PubMed