プレイリストは、その人の性格が出ている

「最近どんな音楽聴いてる?」——この質問、たわいない世間話に思えて、実は相手の内面を探る鋭い一手になる。なぜなら、音楽の好みには性格が素直に現れるからだ。

こうした関係を研究してきたのが、テキサス大学のピーター・レントフロー(Peter Rentfrow)とサム・ゴスリング(Sam Gosling)だ。二人は2003年、音楽の好みを「内省的で複雑」「激しく反抗的」「陽気で伝統的」「エネルギッシュでリズミカル」という4つの次元に整理し、ビッグファイブとの関係を調べた。その後、レントフローらの研究で、音楽嗜好を5次元で捉える「MUSICモデル」へと発展している。

研究から分かったのは、音楽の好みと性格のあいだに一定の関連があるということだ。ただし、プレイリストだけで性格を正確に言い当てられるわけではない。歌詞、メロディ、リズム、テンポ——どれに心地よさを感じるかに、その人の感情の動き方が表れることがある。

研究で判明した、音楽の好みとビッグファイブの主な関係

開放性が高い:ジャズ・クラシック・ブルースなど「複雑で反省的」な音楽

外向性が高い:ポップ・ラップ・ダンスなど「エネルギッシュ」な音楽

協調性が高い:カントリーや、親しみやすいポップ

ここで一つ誤解しないでほしいのは、「このジャンルを聴く人はこういう性格」という単純な割り当てではない、ということ。あくまで傾向の話だ。ジャズが好きな人全員が開放性が高いわけじゃないし、ポップが好きな人全員が外向的でもない。ただ、大勢で集計すると、はっきりした偏りが現れる。その偏りを読むと、自分の好みの背景にある性格が見えてくる。

以下、因子ごとに見ていこう。それぞれの好みの背後に、どんな性格の傾向が先立っているのか。

開放性が高い人——ジャズ・クラシック・インスト

音楽の好みで、開放性が最もはっきりと現れる。レントフローとゴスリングの研究でも、開放性は音楽嗜好と最も強く結びつく因子だった。

開放性が高い人は、好奇心が強く、新しい考えや美に敏感だ。だからこそ、シンプルで聴きやすい曲より、複雑で深みのある音楽に惹かれる。ジャズのアドリブ、クラシックの交響曲、ボサノバ、インストゥルメンタル。言葉がなくても、音の重なりだけで何かが語られるような音楽だ。研究では、こうした「反射的で複雑(reflective & complex)」なジャンルを好む人が、開放性のスコアを高く示す。

もう一つ特徴がある。開放性が高い人は、音楽を「背景音」としてではなく、真剣に聴く傾向がある。通勤中にイヤホンで1曲を聴き込む、ライブに行って音を全身で受け止める——音楽そのものを「体験」として捉える人も多い。料理をしながら流すBGMと、目を閉じて聴く1枚では、音楽との向き合い方が全然違う。

逆に開放性が低い人は、聴き馴染んだポップスや、キャッチーで予測しやすい曲に心地よさを感じる。これは決してレベルが低いわけじゃない。新しい刺激よりも、予測可能で安定した心地よさを価値あるものとして選んでいるだけだ。青春時代に聴いていた曲を何年経っても聴き続けるのも、この傾向の表れだ。過去の自分と今の自分を、同じ曲で繋ぎ止める安心感がある。

外向性が高い人——ポップ・ラップ・ダンス

開放性が「音楽の深さ」に関わるなら、外向性は「音楽のエネルギー」に関わる。

外向性が高い人は、アップテンポで、リズムが明確で、人と一緒に楽しめる音楽を好む。J-POP、ヒップホップ、ダンスミュージック、EDM。クラブやフェスで大音量のビートに乗るのが好き、というのも外向性の表れだ。研究でも、外向性が高い人ほど「力強く反逆的」「リズミックで現代的」なジャンルを好む傾向が確認されている。

一つ面白いのは、外向性が高い人が音楽を「人とのつながりの道具」として使うこと。好きな曲を友達にシェアする、カラオケで一緒に歌う、フェスで知らない人と盛り上がる。音楽が、人と人を繋ぐ接着剤になる。これは、外向性が低い人にはあまりピンとこない感覚かもしれない。一人で静かに聴くのが一番心地よい、という人もいるからだ。

外向性が低い人は、音楽を人と共有するより、一人で味わうものとして捉えがちだ。イヤホンで自分だけの世界に浸る、歌詞を一人で噛みしめる、ライブより部屋でリラックスして聴く。音楽が人とのつながりではなく、内なる感情と対話する時間になる。どちらが良い悪いではなく、エネルギーの充電の仕方が違うだけだ。

自分の音楽の好みの手がかり

複雑で静かな音楽に浸るのが好き、歌詞より音の響きを味わう → 開放性が高い傾向

アップテンポで人とシェアしたくなる曲が好き、ビートに乗るのが快感 → 外向性が高い傾向

協調性・神経症性が好みにどう出るか

協調性も、音楽の好みに顔を出す。協調性が高い人は、親しみやすくて素直な音楽を好む傾向がある。カントリー、フォーク、誰もが口ずさめるポップス。歌詞にしても、対立や怒りより、愛や日常の温かさを歌う曲を選びやすい。これは「尖ったものより、丸みのあるものに居心地の良さを感じる」という性格の表れだ。

神経症性は、少しひねった関係になる。不安やストレスを感じやすいこの特性は、「音楽で気分を上げる」か「落ち込んだまま浸る」かで両極に分かれる。ある人は、暗い気分を紛らわせるために明るい曲を流す。別の人は、悲しいバラードにあえて浸って感情を解放する。同じ神経症性が高いでも、音楽との付き合い方は真逆になる。自分がどちらかを知るだけで、気分の揺れとの付き合い方が少し変わるはずだ。

勤勉性は、音楽の好みには比較的出にくい因子だ。一部の研究で特定ジャンルとの弱い相関が報告されることはあるが、開放性や外向性ほどはっきりした関係はない。だから、音楽の好みから相手の勤勉性を読み取るのは、正直あまり当てにならない。

自分のプレイリストを、もう一度見てみる

ここまでの話を踏まえて、自分のスマホを開いてみてほしい。最近よく聴いている曲、お気に入りのプレイリスト。そこには、あなたの開放性、外向性、協調性が、曲の選び方として素直に表れている。

「なんとなくこれが好き」だと思っていた好みに、実は性格の傾向が先立っている。それを知ると、自分の趣味に少し自信が持てるかもしれないし、逆に「そろそろ違うジャンルも開いてみようかな」と思うかもしれない。どちらにしても、音楽の好みを性格の鏡として使えるのは面白い。

音楽がこれほど性格に出るのは、音楽が感情の器だからだと思う。言葉にできない機微を、メロディが先に汲み取ってくれる。だからこそ、自分が何度も戻ってしまう曲には、その人の感情の居場所がそのまま刻まれている。好みの曲を変えることが、気分の居場所を少しずらすことにつながることもある。

次に「最近どんな音楽聴いてる?」と聞かれたら、ぜひ相手のプレイリストを少し深掘りしてみてほしい。そこから、その人のエネルギーの向き先や、美への感受性、人との距離感が、じわじわと見えてくるはずだ。